浦和地方裁判所 昭和36年(わ)189号 判決
本店
埼玉県大宮市仲町一丁目五七番地
神谷商事株式会社
右代表者代表取締役
神谷一男
本籍・住所
東京都渋谷区西原三丁目四六番地
会社役員
神谷一男
大正一三年八月一八日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官末永秀夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する
主文
被告会社を判示第一の罪につき罰金二〇〇万円に、判示第二の罪につき罰金一〇〇万円に、被告人神谷一男を判示第一の罪につき罰金四〇万円に、判示第二の罪につき罰金二〇万円にそれぞれ処する。
被告人神谷一男において右罰金を完納することができないときは、金二、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は同番地に本店を有し、パチンコ遊技場、キヤバレー、ナイトクラブの経営等を目的とする資本金六〇〇万円の株式会社であり、被告人神谷一男は右会社の代表取締役社長として同会社の業務全般を統轄維持する者であるが、被告人神谷一男は、被告会社の業務に関し
第一、昭和三二年三月一日から翌三三年二月二八日までの事業年度分の法人税をほ脱しようと企て、売上の一部脱滅等の方法により所得の一部を隠匿し、同事業年度における実際所得額が二一、一三万九、九〇三円であり、これに対する法人税額が八三五万五、九二〇円であつたのに拘らず、同三三年四月三〇日埼玉県大宮市所在の所轄大宮税務署において同署長に対し、所得額を二六一万九、六一五円、これに対する法人税額を九九万七、八四〇円と、過少に記載した虚偽の確定申告書を提出し、よつて右正規の法人税額との差額七三五万八、〇八〇円の法人税をほ脱し、
第二、同三三年三月一日から同年一二月三一日までの事業年度分の法人税をほ脱しようと企て、前同様の方法により所得の一部を隠匿し、同事業年度分における実際所得額が一一、八二万八、一六三円であり、これに対する法人税額が四二九万四、六七八円であつたのに拘らず、翌三四年二月二八日前記大宮税務署において、同署長に対し、所得額を二〇一万二、九一三円、これに対する法人税額を六六万四、九〇二円と、過少に記載した○○の確定申告書を提出し、よつて右正規の被告人額との税額三六二万九、七七六円をほ脱し
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全般につき
一、被告人神谷一男の当公判廷における供述、第一回公判調書中同被告人の供述記載、同被告人の検察官に対する供述調書五通および大蔵事務官の同被告人に対する質問てん末書一二通
判示冒頭の事実につき
一、市川善次郎作成の登記簿謄本
判示第一、第二の事実につき
一、大蔵事務官の、大庭進(三通)、大岩久一(四通)、真川芳造(五通)に対する各質問てん末書
一、右三名の検察官に対する各供述調書三通宛および同人等作成の各答申書(大正・昭和三五年五月一三日付、同九月一九日付(一〇二八丁)。大○(八六五丁一、真川同二八日付(六七一丁)
一、修正貸借対照表(一、一九四丁~一、二〇六丁)
一、銀行調査元表(三二〇丁~六一二丁)
一、売上帳二冊(昭和四一年押第一六八号の一〇、四三一)、印鑑三一個(同号の一三、三一、三三)、売上等累計帳一冊(同号の一四)、煙草仕入メモ一冊(同号の一六)、在庫品目録一冊(同号の二〇)。煙草仕入帳一冊(同号の二九)、金銭出納帳二冊(同号の三八、四八)、在庫帳一冊(同号の五〇)、仕入帳(同号の五八)
判示第一の事実につき
一、大蔵事務官伊藤彦二郎作成の証明書(二五丁)
一、法人税決議書(八〇丁)
一、金銭出納帳六冊(前押号の一、七、一二、四六、五二)、経費および家計帳一冊(同号の四)、元帳二冊(同号の一九、二五)、在庫品目録一冊(同号の一二)、売上帳一冊(同号の三六)、仕入帳三冊(同号の四一、六五、六七)在庫帳一冊(同号の六一)、試算表損益計算表一通(同号の六二)
判示第二の事実につき
一、大蔵事務官伊藤彦二郎作成の証明書二通(五二丁~七〇丁)
一、法人税決議書(一二五丁)
一、大蔵進作成の昭和三五年一〇月三日付答申書(一、〇七七丁)
一、久野高造作成の答申書
一、金銭出納帳五冊(前押号の二、一七、五一、四四)、家計簿一冊(同号の八)、元帳五冊(同号の一八、二四ないし二六、六四)、売上帳一冊(同号の二八)、在庫帳二冊(同号の三九、四〇)、仕入帳二冊(同号の五七、六〇)
(法令の適用)
被告会社に対し
法人税法附則一九条、改正前の旧法人税法(昭和二二年法律第二二号)五一条一項、四八条一項、五二条本文
被告人神谷一男に対し
法人税法附則一九条、右旧法人税法四八条一項(罰金刑選択)、五二、本文同法一八条
(裁判長裁判官 秋葉雄治 裁判官 杉山英巳 裁判官 小田泰機)